異形の詩歴書 14歳夏/佐々宝砂
 
ものだと思うのだが、記憶は不確かだ。もう作者の名も忘れてしまった。それは恒星について書かれた詩だった。赤く燃える老いた恒星と、青く燃える若い恒星と、黄色く燃える平凡な恒星太陽に対して呼びかける、そんな詩だった。恒星たちは「お前は何をしているのか」という凡庸な問いかけに、「私ハ燃エテイル。」と凡庸に答える。それだけの詩に過ぎなかった。なぜそんな詩が記憶に長くとどまっているのか、私には説明することができない。SFだったからではないと思う。あの詩がSFであったとは、今の私には、どうしても考えられないのである。

 そのころ買った講談社のSFアンソロジーには、間違いなくSF詩と呼べる詩が載っていた。
[次のページ]
   グループ"異形の詩歴書"
   Point(4)