異形の詩歴書 高校編その2/佐々宝砂
授業に示唆されて、少しずつ少しずつ、評論のマネゴトを日記帳に書くようになっていった。教科書に載らない文学を、教科書にある方法で読み解く。教科書にある文学を、教科書にない方法で(悪意たっぷりに)読み解く。慣れてくればそれはものすごく面白いお遊びで、私は、どこに発表するあてもない文章を夢中になって書いて徹夜した。しかし私の知識は相変わらず偏っていて、小林秀雄のコの字も知らなかったし、知っていても自分に関係あるなんて思わなかっただろう。
そのころの私は、自分の書いているものがなんなのか知らなかった。
2002.12 .(初出 Poenique/シナプス)
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