異形の詩歴書 〜12歳/佐々宝砂
 
が、そんなものにあこがれてしまうのは、ある意味で当然のことではないか。

 お情けで小学校を卒業した私は中学に入った。学校に行ったり行かなかったりのんべんだらりの日々が続いていたけれど、それでも小学校のころよりは学校に行くようになったので、読書禁止令は解かれた。禁止されても禁止されても本を読みまくっていたから、禁止令が解かれたと言ってもたいした意味はなかったが、再び本を買ってもらえるようになったことが嬉しかった。

 中学一年生の冬、私は、メアリ・ド・モーガンという童話作家の『風の妖精たち』を買ってもらった。いわゆるフェアリー・テールの系譜に連なる童話だが、童話のくせに情動が烈しい。し
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