夕焼けのコロットさん/AB(なかほど)
何年ぶりかに訪れた町は
道路が広げられ
いくつもの大きな店が並び
駅ビルもすっかりきれいなホテルになって
僕の中の地図はすっかり
すっかり塗りつぶさなきゃ
いけないのだろうか
塗りつぶしたい理由が他にあることは
すっかり忘れたつもりで
僕の育った町では
かろうじて残ってはいたローカル線の一部も
全廃止になって
そんなニュースは三日間だけで
田んぼの水入れは毎年のように
陽の光がゆらゆらと
そこに
時計代わりの線路のきしむ音は
田んぼには聞こえてこないよ
もう聞こえてこないんだよ
よんどころなく
全てを忘れることなんてできない
全てをそのままに覚えていることも
もちろんできやしない
今
僕が住んでいるこの町で
いつも車で通る道を
なにか理由をつけて歩いてみる
探しものなんか無くてもいい
何かを思い出すように
振り返りながら
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