別離の詩/塔野夏子
 
だろうか

 《何ひとつ 君のせいではない
 《だから 君は君で瞳をあげて

足元で揺れる小さな薄紫の花の
何と さびしいことだろう
此処からは もう何処へも行けない
一緒には

 《君は君のままで行くがいい
 《僕が君にしてあげられることは もはや何もないのだ

僕らは此処まで
二人して歩いてきた
一緒に
何処かへ行けると思っていた
あるいは
何処までも行ける と……?

今となっては もう何もわからない
ただ此処から二人 離れてゆくだけ

 《此処まで一緒に来られてよかった
 《さよなら
 《さよなら
 《さよなら……




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