近代詩再読 立原道造/岡部淳太郎
 
の四行詩はその延長線上にあるものだろう。後のソネットと比べると立原らしい清新な抒情はまだ現れていないが、その代わりに瑞々しい「発見」の驚きがある。どこか八木重吉の短詩を思わせるようなところもある。
 同じような「発見」の驚きが綴られている短詩をあとふたつ紹介しよう。


僕は 脊が高い 頭の上にすぐ空がある
そのせゐか 夕方が早い!

(「僕は」全行)


貧乏な天使が 小鳥に変装する
枝に来て それはうたふ
わざとたのしい唄を
すると庭がだまされて小さい薔薇の花をつける

名前のかげで暦は時々ずるをする
けれど 人はそれを信用する


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