蒲公英(たんぽぽ)/まどろむ海月
 





  ? 夏の妖精


笑いながら
運ぶ風に
身を任せて
あなたは走り去ろうとしたが

 照りつける陽射し
 の中にではなく
 薄萌木色の林の奥に


手持ち無沙汰な
安堵の水際に
白い足をひたして
あなたは香りを
とらえようとしたけど

 微かに漂うものに
 葉はざわめき
 その密やかさの中に




目を閉じてごらん

 それは
 面影の蛍火のように
 ほのかに灯り

 あなたをやさしく包みながら
 誘(いざな)っていくのです




 まばゆい
 夏へ




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