幽霊のひもの/岡部淳太郎
――わらべうた
空は晴れていました。それはもう、
実にみごとに晴れわたっていまし
た。僕(子供)は逆上がりができ
なくて、学校でみんなから笑われ
て、からかわれて、そのせいで淋
しくなっていました。家に帰る道
の途中に公園があって、公園だか
らあたりまえみたいに鉄棒があっ
て、そこを通ると学校で逆上がり
ができなかったことを思い出して
しまうから、いやだなあと思って
別の道を通って帰ろうかと思いま
した。思って思って思ってしまう
のが、たまらなくいやだったので
す。でもその道しか知らなかった
[次のページ]
次 グループ"その他の幽霊"
編 削 Point(20)