ニュー/ヒア/nm6
駅のことは、よく知らない。
きっと灰色がかっていて、太陽が浮き足立って馴染まない。
ニュー。ニュー。
知らないものは知らない。
黄色い紙に書かれた矢印は、ことばとことばの間を水平にするりと抜けて、果敢に飛躍していく。どうせドライブしていく常なのだから、いっそこの程度ランダムなほうがセクシーだ。ぼくらはいま涼しい東京で、悪い気はしない。ところで新宿駅の改札の内側は、囲われて動いていくその渦中に、新宿ではなくなる。きっと立ち止まって、歩く人を眺めるときそれは優しくなるだろう。その時まで、すべては置き去りだ。ひとつ大きく後回しにしたそれは、水平にぼくらを叩きつける。すべては運動で、そしてぼくらはひどく気まぐれだ。
見えてこないのなら見ようとすればいい。
見えないうちはここにいればいい。
ニュー。ニュー。
知らないものはイメージすればいい。
ニュー。ニュー。
新しくなることについて考える昼すこし前の柔らかい光だ。
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