パレード〜ビフォア カラリズム〜/久野本 暁
従属の笛の音が知らせる足の一歩一歩を確かに踏み分ける赤レンガの硬い音
それはまだ無い 皆の首と腕の間でわずかになりだしているだけ
見上げる空の全てが虹になる
きたるべき神秘的な夜が飽和して光に溢れる
傾(かし)いだ青の小路(こみち)にも
揺らいだ砂の庭先にも
子供の眼差しは虹色の空よりも輝いている
一宵限りの行進が青い音を連れてやってくる
訪れる前のかすかなリズムと橙色の静寂
反動して反復を早める子供の駆け足
石と足とが離れた時に浮かび上がる漆黒と夕焼の色
さぁ 見世物がやってくる
ピエロに向けられるのは嘲笑を上回る憧れであろうか
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