ファントム・オブ・ザ・パラダイス/大覚アキラ
たとえば
この曲をきみのために捧げたとして
いったいそれに
どんな意味があるというのだろう
おれは
もはや ただの亡霊
朽ち果てていくだけの運命
白鳥の視た束の間の夢の中で
歪んだエレキギターが奏でる欲望
唸るキーボードが歌う欲望
叫び 笑い 悲鳴
何もかもがが絶叫しながら
自らを切り刻みつつ
猛スピードで回転する渦
呑みこまれていく
刻まれていく
ボロボロに
粉々に
ああ
静かだ
この静かな瞬間が
訪れるのを待っていたんだ
渦の真ん中は
不思議なぐらい静かだってこと
今 初めて知ったよ
ごらん 白鳥が堕ちていく
亡霊も去るべき時が来たようだよ
狂乱と馬鹿騒ぎの渦のど真ん中で
最後の残り火を守るみたいに
おれを抱きしめていてほしいんだ
きみは不死鳥
やがてまた傷も癒え
はばたく時が来るだろう
それまで
しばらく眠りなよ
おやすみ
おやすみ
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