メメント・モリ/蒸発王
体を取り巻き
身体の周りには
常に死の予感が立ち込めるので
未熟な命は近づくだけで消えるのです
僕が死を想えば
黒さは闇のように粘ついて
人は早く死期を迎えます
悲しみながら
僕は飽きもせず
死を想いました
そうすれば
耳元で彼女の吐息が触れる気がしたから
冷たい霧になった
僕の最後の温もりが
彼女への恋心なのです
やがて
僕は
せめてもの罪滅ぼしに
僕が死なせてしまった
全ての人を訪れて
温かい所まで連れて逝くように成りました
黒い霧はいつのまにか濃縮されて
小さな黒い手帳に変わり
開けば向こ
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