扉の物語/アンテ
気がつくと
街を抜け出して森の扉のまえに立っていた
ノブを掴んで扉を開けると
風がゆっくりと流れ
彼女が足を踏み出して扉をくぐると
扉がゆっくりと閉じて風がやんだ
見回すとそこは彼女の住み慣れた部屋で
布団にもぐり込んでぐっすりと眠り
次の日になると
あれほど耐えられなかったなにかが
街からごっそりと抜け落ちていた
あるいはそれは今でもそこにあって
なにも感じなくなっただけかもしれなかったが
とにかく気持ちが晴れて
毎日を過ごすことができた
けれど時がたつについれて
別のなにかが次第に胸に蓄積して
気がつくとまた扉のまえに立っていた
彼女はそんなくり返しにうんざ
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