終わり/アンテ
我が身の一部を切り取っては人形の胸に埋め込み
最後の人形に与えおわった時には
少女の存在そのものがなくなってしまった
しばらくすると
人形たちの胸が鼓動を刻みはじめ
次々と目を覚ました
彼女たちは自分の状況がよく理解できず
なぜ森の家で目覚めたのか判らず途方に暮れて
寄り集まって知恵を出しあってみたが
最後まで少女の存在に思い至ることはなかった
せっかく目覚めたのだからと
みな森の家を去って方々へ散り
それぞれなにかを志した
毎日のくり返しは忙しなく
彼女たちは互いのことを思い出すゆとりもなかったが
夜更けにふと目をさました時
人混みのなかで立ち止まった時
そこにいてはいけないような気がして
淋しい気持ちになった
手を胸にあてて
そこにないもののことを想った
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