偏食 二/落合朱美
次に私が拾った獏は
これはもう生まれついての
野良獏だったから
やっぱり夢は食べなくて
好んで食べたのは・・・嘘
あぁ 私はどうしたらいいのかしら
せっかくイイヒトで通してきたのに
今度はウソツキになれというの
思わず天を仰いだ私
だけど可愛い獏のため
私はウソツキになってみた
そしたらこれが意外に簡単
イイヒトであることと
ウソツキであることは
実は背中合わせの紙一重
私はイイヒトになりすまし
人々の秘密を片っ端から聞いてやり
心にもないお世辞を口走り
もっともらしい助言などをしてあげる
時にはありもしない身の上話をでっちあげ
人の笑いや涙
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