無題/---
 
君は水泳教室の帰り道に
俺にジュースを奢ってくれたね
体中がみしみしと疲れてしまっていても
笑うための筋肉だけは最後まで強かった
進路の話をするときにも
有り得ない職業について空想することができたし
俺は甘いから口語にしかなれないんだって
かなしく空気を吹くことも許された
あのとき俺は本当に何も知らなくて
世界は詩に変換できるものだと思ってた
なんの知識もないほうが純度の高いものが書けると

炭酸飲料に胸やられた俺たちは
薄い涙目で夕暮れに噛みついたもんだから
塗り替えられる色彩を追いかけてた
ずっと追いかけてた
そしていつか
そしていつか俺たちは荒野をめざす





悲しみのか
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