魔法使いの正体/和泉 誠
この世界のどんな悲劇でも
美しいメロディーに変えてしまう
魔法使いの正体は
周りに誰も頼る人がいなかった
一人の貧しい醜男でした
一人でも多くの人を
楽しませてあげたいだなんて
それはただの建前で
本当はただ必死だったんだ
自分の人生を救うために
甘ったるい夢や理想なんて・・・
そんな事はなぁ
この俺が一番分かってるんだよぉ
魔法を使うのは
人を喜ばせるためなんかじゃなくて
ただ自分のためだったんだ
深い深い闇に飲み込まれないために
魔法に魅せられた人は決まって俺に言う
私も幸せにしてください
だったら俺に君の幸せを少し分けてはくれないか?
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