僕と人形劇/和泉 誠
だった
大きくなった僕は
自分を使って物語を作るようになった
目に見えるもの
手で触れられるもの
人形になった僕には
すべてが偽物っぽかった
でも、それでもよかったんだ
自分を使った人形劇は
それはそれは楽しいのだから
ただ、大人が突然現れて
それをめちゃくちゃにするのが
僕は大嫌いだった
人は僕を哀れだと言った
愚かだとも言った
僕はそれを聞く度にただ泣いていた
大人がいなくなった後
涙を拭いて、僕はまた人形劇を始める
誰のためでもない自分のための人形劇を
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