目覚め/和泉 誠
れた財産は
昼の世界では一銭の価値も持っていない
夢の世界では王国を開けても
昼の世界では乞食のままじゃ格好悪いよ
夢の世界で意気揚々と歌を唄っても
そうやって自分に格好悪く脅されるんだ
だから目覚めた時は貧しい乞食でもいい
いつか自分を見返せるようになりたいんだ
君が永遠と呼んだ夢の世界の美しさ
その完璧さが僕に分からない訳ないだろう?
昼の世界にあるものは不完全で刹那的だ
なのに僕は今それが欲しいんだ
確かにどこかが乾いているんだよ
きっとそれについて何も知らないから
この世界には四季がある
冬が嫌だからって秋に死んだら
もう再び夏がやって来る事はないだろう
この世界には太陽と月がある
昼が嫌だからって朝に死んだら
もう再び夜がやって来る事はないだろう
きっとまた僕は夜に
夢の世界に戻ってくる
その時は
昼の世界の財産を少しばかり持って来れるだろう
そしてまた
僕は夢の世界を自由に飛ぶ方法を思い出すだろう
だから
夢の世界の財産をたくさん持って僕は旅立つ
何もない荒れ果てた昼の世界へ
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