真夏がはじまる/塔野夏子
 
雨のむこうから
無造作に青空
緑のつややかな木立の陰から
ほら 少年たちが
幾重にも幾重にも生まれてくるよ
君の髪を肩をすべるように
きらきら きらきら
光たちが降りこぼれるよ

逃げ水を追いかけ駆け抜けて
風の吹くあの白い展望台へ行こうよ
真夏のはじまりを
いっぱいに浴びようよ

いっぱいに透きとおって
いっぱいに輝いて
眩(くるめ)くように 僕ら
まるで世界の天辺

ほら 少年たちが
幾重にも幾重にも飛びたってゆくよ
その行方を眩しそうに見つめている
君の横顔から
無造作に青空



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