七月一日/
塔野夏子
窓枠は白く
午後のものうさの
界面に浮かんで
俯く薄紫のアガパンサス
灰色の雨の空を
半透明の船が
ゆっくりとよぎる
丘は遠くに緑の横貌を見せて
そのさらに遠く
おそらくは真夏の方角に
きららかな音符たち――まだその気配だけ
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