銀色のプラットフォーム/塔野夏子
 
銀色のプラットフォームは静かだ
何かが終わってしまったような
白い虚ろな光があたりを満たしている

駅名表示もない 時刻表もない
すべての列車はもう過ぎ去ってしまったのかもしれない
他の乗客も駅員も誰も見あたらない
この静かすぎる銀色のプラットフォームで
僕はいったい何をしているんだろう

ただ線路はしんと光を反射しながらそこにある
見える限りの彼方から彼方まで
遠くには陽炎がゆれているようだ

この白い虚ろな光は
終わりのない夏を思わせて

ふと線路の上にパレードがあらわれる
色とりどりにはなやいで
楽の音と紙吹雪をまき散らし

それは幻影 蜃気楼
それとも記憶の残像
いずれにしてもそれは不思議にあざやかで

そしてまたふとそのパレードはかき消える
白い虚ろな光の中 銀色のプラットフォームに
ひとり佇む僕を残して

古ぼけた空っぽの旅行鞄といっしょの僕を残して


   グループ"夏について"
   Point(6)