銀色のプラットフォーム/塔野夏子
銀色のプラットフォームは静かだ
何かが終わってしまったような
白い虚ろな光があたりを満たしている
駅名表示もない 時刻表もない
すべての列車はもう過ぎ去ってしまったのかもしれない
他の乗客も駅員も誰も見あたらない
この静かすぎる銀色のプラットフォームで
僕はいったい何をしているんだろう
ただ線路はしんと光を反射しながらそこにある
見える限りの彼方から彼方まで
遠くには陽炎がゆれているようだ
この白い虚ろな光は
終わりのない夏を思わせて
ふと線路の上にパレードがあらわれる
色とりどりにはなやいで
楽の音と紙吹雪をまき散らし
それは幻影 蜃気楼
それとも記憶の残像
いずれにしてもそれは不思議にあざやかで
そしてまたふとそのパレードはかき消える
白い虚ろな光の中 銀色のプラットフォームに
ひとり佇む僕を残して
古ぼけた空っぽの旅行鞄といっしょの僕を残して
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