青い預言者(マリーノ超特急)/角田寿星
号のような計算式を書いた。入江に立った彼の姿は砂浜の白さと海の青さのなかで際立ってみえた。日没直後の群青色の空に細長い雲が白い陰影をつけて流れていく。そんな時アスルは薄暮の闇にまぎれて判別がつかなくなった。
その間にも村の奥ふかく横たわる森は生長をつづける。森の侵略になす術もなく村の生息域は縮小の一途を辿っていた。ひと月前までの灌木の平地が鬱蒼とした森に変ることも一度や二度ではなかった。森の奥ふかくで人は生きられない。或る者は言う。黴か胞子か定かではないが―それはヒトの運動神経領域を有意に侵す。森のなかで動けなくなったヒトにやがて緑の苔のようなものが皮膚から内臓にいたるまでびっしりと襲いかか
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