ウー(ウルトラマン)/角田寿星
雪は降りしきり
いつまでも降りしきり
ずいぶん前に閉鎖された
スキー場跡地を埋め尽くし
山おろしの風がすべてを吹き飛ばして
白銀より他の色彩を 世界から奪っていく
まるで
光の国のようだ
麓の集落は しだいに人を減らし
川沿いを駆け抜けた鉄道も廃線となり
産廃を積載するトラックが不法投棄していくだけの
しずかな里になった
そしてきょう 最後の一軒で
葬儀の提灯がひそやかにともり
消えた
(ここは日本有数の豪雪地帯。その中央部に鎮座するまぼろしの飯田山は
原因不明の低温で夏になっても雪が解けることはない。
その豊富な水脈の恩恵にあずかりつつ
[次のページ]
前 次 グループ"怪獣詩集"
編 削 Point(3)