ごめんね/アンテ
 
人工呼吸器の音が規則正しい
ようくんは目を閉じていて
思わずいたずらをしたくなる
こんな風に
きっとわたし
ようくんを眺めて過ごしたことがある
それは確かだと思える
窓辺にならんだ砂時計を
ひとつずつ順番にひっくり返して
さらさら さら
胸に手をあてると
心臓がちゃんと動いている
穴があいていたり
動脈がひんまがっているけれど
それでもしっかりと
まだしばらくは
わたしを生かしつづけてね

知らない人が
夜の窓にうつっている
これがわたし
何度もくり返し自分に言いきかせるうち
昔から知っている気になる
なんでも判っている気になる
知らない人が
笑っ
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