夕焼けの鐘/遊羽
 
   空が赤くなる頃
   見慣れぬ街で
   聞きなれたメロディーが耳に届く
   どこに住んでいる人も
   みんな同じ感情を持ち合わせ
   町中に響く
   家路のメロディーに耳傾ける
   仕事を終えて休む魚市場にも
   丘の上の分校にも
   駐在さんの屋根の上にも
   もう帰ろう
   もう帰ろうと
   夕焼けの鐘が呼びかける
   旅の途中で
   帰る場所がない僕にも
   夕焼けの鐘は
   もう帰ろう
   もう帰ろうと
   呼びかけて
   日は暮れてゆく

     
     詩集『食べられる退屈』#20



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