『鈴香』/士狼(銀)
僕には、
鈴香(すずか)、京香(きょうか)、由香(ゆか)の三姉妹がいました
次郎(じろう)君は彼女たちと一緒に暮らしていました
彼女たちにはそれぞれ次郎君の子供がいて
鈴香は三回、京香は二回、由香は四回生みました
鈴香は一回、京香は一回、由香は二回の流産を経験しました
生きて生まれた子は、どの子も五つ子でした
皆幸せでした
子供たちがやっと親の五分の一程度に成長した日
次郎君が死にました
悲しみに暮れた京香と由香も死にました
五の子供が死にました
僕はその度に泣きました
鈴香だけが二十の子供に囲まれて
生き続けました
子供は次々に死にました
皆、次郎君が恋しくて
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