祝祭/岡部淳太郎
とりの、人の姿のようでいて、そんな古い、やがて色あ
せる絵筆で、あったはずなのだが、そのそんざいはここ
にありながら、つぎの瞬間には、ただ通りすぎるだけで、
あるいは、その日がやってきて、いつも同じ日がやって
きて、いつも同じ人がやってきて、おもてでは、また何
かが起こる、誰かが、起こされる、また同じ調子で、祝
祭の音楽がなりひびいて、ただそんなような気になって、
目を上げさせられて、いるだけで、それだけでもういっ
ぱいで、「私」は剥がれながら、今日もある、いまの悲
しい風景を見ながら、とりあえず、生きる、ああ、世界、
(二〇〇七年十月)
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