太陰暦の日々/岡部淳太郎
 
           だが、読み捨てら
れた日々を集めて捨てにいく者の労苦を、君
は思わない。これほどに長く、満ち欠けの脈
動に煩わされて、歴史が目の前で組み替えら
れるのを見守ってきたというのに、君は日を
飛び越え、月を抱きかかえたままだ。

            誰も知らない眠り
の夜、ずれたままの日々は変らずに、君の背
後で寒気につつまれている。君はひとり、ひ
そやかな場所へ、戦争に行く。



(二〇〇六年一月)
   グループ"散文詩"
   Point(5)