真面目なサングラス/虹村 凌
望させる事なんて無いんだ
だからサングラスを外さないでいられる
彼は運命の人を信じていて
惚れっぽいなんて人が信じられないと言うんだ
安っぽいミリオンセラーで涙する事も
くだらないドラマで目を真っ赤にする事も
信じられないって彼は言うんだ
でもサングラスの奥の彼の本当の目を
誰も見た事が無いんだ
真面目なサングラスは
人生に一度だけ人を愛して
その人にしか目を見せないんだと言う
その時に彼は真面目なサングラスである事をやめて
安っぽいドラマのような愛に涙を流すのだろう
そういう人間に、私はなりたくない。
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