高級娼婦になりたかった女は/虹村 凌
 


「高級娼婦になりたいの」
彼女は微笑んだ
「愛してるんだよ」
俺は呟いた
煙草はとっくに燃え尽きて
フィルターが露出している事に気づかず
下を向いて缶コーヒーを蹴飛ばした
高級娼婦になりたい彼女は
甘い煙草の香りが好きだった














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高級娼婦になりたかった彼女は
ロリータ少女になったらしい
風の噂で聞いたんだ
今はあの煙草を吸わなくなった

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