アイソニアの騎士、立つ(十四)/おぼろん
 
アイソニアの騎士は打ちひしがれながら王宮を後にした。
盗賊ヨランが、その横顔を見つめる。
「力を落とされませんように、騎士様」
「いや、俺は力を落としてなどいない。しかし、イリアスはどこにいるのだ?」

「わたしの盗賊網のネットワークで調べてみましょうか?」
「そんなことができるのか、ヨラン?」
「この街に来た馬車、この街に来た外国人。
 そのようなものを調べれば、イリアス様の所在もつかめるかもしれません」

「なんだと? ではさっそくやってくれ。俺は今すぐにでも……」
「おっしゃいますな。あなたの怒りがあちこちに向いていることを、
 わたしも肌身で感じております。ですが、今は焦ることのありませんように」

「分かっている。しかし、イリアスの寿命が尽きることが迫っているのだ。
 俺は、そのような悪行が許せない。イリアスは生きなくてはならない」
「分かっております。早速仲間に手配して、イリアス様の所在を確かめさせましょう」
   グループ"クールラントの詩"
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