記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
度同じ頃、
地球の裏側は、涙さえ枯れている、戦場の空。
俺には世界がどうなろうと知った事じゃない。
戦争だってやりゃいいし、死にたいヤツは死ねばいい。
俺には何処かの核爆弾より、目の前の舞子の方が大問題だった。
誰かの歌詞にあったな。
世界なんて、平和なんて、人類なんて、戦争なんて、
裏切りなんて、日常なんて、全て、全て。
無くなったって構わない。
俺には舞子さえいればよかった。
俺は俺の倫理すら守れずに、誰を守る気だったのか。
俺の部屋を出て、彼女を駅まで送る時、手を繋ごうとして言われた。
「駄目。手だけは駄目。手を許しちゃったら、全部許しちゃいそうだから。」
確か、こんな事を言われた記憶がある。
俺にはよくわからなかった。これが女心なんだろうか。わからねぇ。
空はまだ、青い時間だった。
俺は、彼女に、狂っていた。
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