物化/……とある蛙
なんて言えない
僕自身,
君の病を治すことはできない
でもそんな弱音を吐くこともできない。
本当に何もできない人間です。
君がいなくなるのが恐ろしいのです。
君と話ができなくなるのが恐ろしいのです。
君を見ることができなくなるのが恐ろしいのです。
三六年前からずっと
本当にずっと毎日一緒だった。
学生の時は特に四六時中一緒だった。
いま、そんな君が物体になろうとしている。
それをじっと見ている。
そして、君が物体になった。
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