『遡上の果て』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
った
生活も心も切り身として売りに出し
当たり前のように妊娠した
その頃すでに男に顏は無く
暗黙の流れ作業のように私は
まだ魚のような赤ちゃんを
病院で掻き出した
そうして
順番を違えたまま
導かれるように
故郷へと遡上した
この脂の抜けた?ほっちゃれ?が今
他の雌の腹を裂き筋子を抜いている
嫌な仕事もいつかは慣れる
機械の一部のように
腹を裂き 卵を抜く
腹を裂き 卵を抜く
腹を裂き
《医者や助産師も慣れるのだろうか
《嫌なら始めからやらないだろう
《耐え切れずに辞める人もいるだろうか
《他に手段の無い不幸な女を救うため
《使命感を持ってい
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