百七十六円で/もっぷ
…来るところまで来ちゃったんだろうな
懐から小銭入れを出して、
きょうのパンを買う代わりに
ついに切符を買う日が訪れたのかもしれない と
気持ちが揺れる
揺れるままに足はマーケットを過ぎて駅へ向かっていた
私にはのこしてしまうおさない面影がある、
ただそれだけが ただそれだけのものではなく
意味、その全てだったと
自分の命をあらためてみる こういう時のなみだを
ゆるしてくれるぬくもりがほしい
残念と その残念ゆえに生まれた望みは
どこにも行くあてはなく 私はこれからほんとうに
ほんとうに泡沫となっても良い、と…
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