詩集『十夜録』全篇/春日線香
 
上から見ると地上には青い火がたくさん燃えてい
る。あの静かにかがやく青い火の群れ。ぼくらの火もあれぐらいき
れいに燃やさなければならない、そうねあたしたちは枯れているか
らよく燃えるもの当然だわ。鳥居にこしかけて老人のように息をは
きながらもう迷うことはないし永遠に火に包まれるにはぴったりの
真夜中だね。ぼくらはあのさそりのようにきれいに燃えるんだね。
地上もすばらしく豊穣につつまれたゆたかなてんごくになるんだ。



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