草原の記/平瀬たかのり
 
 目をこらせばふたりと二頭
 近づいてくる大きくなる
 娘はもう気づいている
 争われているのは自分だと
 はやくなる鼓動
 ぎゅっと掌を握りしめる
 やがて羊飼いの娘の顔に
 王女の笑み
 おくれ毛を揺らす草原の風
 沈む夕陽を背負って
 ふたりの男がやってくる
 鹿毛と栗毛が駆けてくる

    〈テンポイント・トウショウボーイ〉
       (昭和五二年 第二二回有馬記念に寄せて)


   グループ"草駿譜"
   Point(4)