【音】塩時計には音がない---三篇のオムニバス/るるりら
た それから私はしばらく
あれはなんであったのかという想いに囚われた
塩だと思った。あの世界には 音がなかった
夢とはおもえぬ質感の世界だった
なじみのある質感だった あの粒子は塩だ
しかも 目覚めた今も
夢の中の地形を明瞭に 想い浮かべることができる
あれは 広島だった
塩漬けの 広島
もう一度、夢にでてきた街並みを確かめながら 広島を歩く。
夢の中では 迷路としてあらわれた建物のあたりを 確かめながら歩く。
ちょっと見ただけでは四角い形にしか見えない建物は ゆるい扇を描いていて
建物の中に訪れた人々に見せたがかっている物が 正面に見
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