川柳が好きだから俳句を読んでいる(4、飯島晴子のこと)/黒川排除 (oldsoup)
 
だけども。さて、ブックオフだ、ブックオフで100円で買った謎の季刊誌に飯島晴子の名前があり、そこで描かれていた廃墟にまつわる一連の作品が猛烈に素晴らしかった。それが今上げた二句だが、その他の作品も本当に味わい深く、幻想的で、暴力を内包していて、それが廃墟という、今だから気付いているが空虚な主題に心ゆくまで浸っている。おそらく平成元年前後の作品だろうが、ここが絶頂だったらしい。これ以後の句集作品を見てもどこか平凡で、とらえどころしかない作品が連鎖している、無論同情的な見方をすればその頃から既に自殺について考えていたから、気付かれぬよう努めて平凡であろうとしたと考えることもできるが、同情はしたくないのでただ平凡になったとしたい。飯島晴子のエネルギーは他のどんな俳人よりも強く巨大であった、しかし使い捨てであったのだ。辞世の句かどうかは知らないが最終句集の最後の句は「丹田に力を入れて浮いて来い」であった。実際は浮いて来なかったのではなく、底で消え果ててしまっていた。
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