川柳が好きだから俳句を読んでいる(5、前原東作のこと)/黒川排除 (oldsoup)
 

 さくらいろのあかるさかごしまのそらふくらんできた
 指紋それはビショップの環を呪うてくらすのだ

 それが、こう変わる。略歴にもある通りいわゆる「新興俳句の洗礼を受け」た、のだ。しかしそれであるにしろこの突き抜け方はなんだろう、全く順応している、まるでもともとこういう作品を書いていたかのようだ。見たものをすべて取り込んだようなとりとめのなさが字余りを(もちろん字足らずの作品もある)極端に拡大して、それをまた字面の上でもリズムの上でも飾り立て、その上であっけらかんと率直に言葉を投げている。書いている内容こそ詩情を孕んではいるが、俳句の形としての入れ物、その語尾の調子はまさしく率直である。
[次のページ]
   グループ"川柳が好きだから俳句を読んでいる"
   Point(0)