卵みたいな卯月/小池房枝
れたら素直に静かに答えよう誰かいますか誰もいません
四月でも雪になるかとふと思うつんと冷たい風が吹いてる
沈み果てる前に春先長くなる日脚に呑まれ消えゆくシリウス
ものかげの花に気づいてやぁと言うと近くの猫がニャァと答えた
タイミングはかって花の吹き溜まり蹴り上げてみたが風に乗らない
まじまじと蕊を見てるとウメもモモもサクラもやっぱり薔薇科と思う
風ここでそんなふうにも動いてたの渦巻く花の軌跡目で追う
さくらさくら行ったり来たりくるくると向きを変えたり舞い上がったり
鯉の背が水を分けてくそのたびに花びらがすっとよけたり触れたり
ぼさぼさとあまり手入れのされてない梅林の底シロバナタンポポ
花信風双六一気に立夏まで咲きあがらんと荒れる雄風
君はもう咲き終わったろチューリップ。
ここにお座り、五月の風だよ
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