卵みたいな卯月/小池房枝
逝く
作家たちの訃報きくたびまだ同じ時代に生きていたのかと思う
ちびかけた赤鉛筆を拾ったよ駅のホームで何してたんだろ
山道に怪しい案山子が立っているすっごく怪しい案山子の山道
歩く歩く吹く風の中に一歩ずつ自分の身体を差し入れてゆく
神は死んだ、とのことそうか、生きてたんだね。どんな一生だったんだろうね
醸された昼の桜や菜の花と晩のカレーの匂いがする風
斜面ふと見あげればスミレ好き好きにあちこち向いて咲いていました
植えたはずのない百合すいと立っている今年来るのは誰の百年
高層のあわい砂漠をはろばろと月がゆきます砂に染まって
裏側に
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