「ね」はあげたくない/subaru★
 
十二月某日
この地はまだ吐いた息が白くならない
気温はこの時期にしては穏やかである
相反して 福岡の繁華街は喧噪としている

次から次へと
多系統の行き先を掲げた市バスが滑り込み
矢継ぎ早に乗客が乗り込む
その土地の風習に
慣れない私は合流することすら出来ない

目的地は埠頭近くの会場
車で行けば十分ほど
手を挙げて 私はタクシーを停めた

ドライバーに行き先を告げ
車で揺れること二分たった時か
窓に貼られた初乗り運賃が五百五十円に気付く

運転手さん
福岡は運賃値上げは無いのですか?
と私は尋ねる

一呼吸おいてドライバーは口を
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