稲わらの火/subaru★
 
望んでない炎
炎に塗(まみ)れた稲わらが強引に傾(かし)げる 
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす

ありえない色
塗り替えられた あの土地で
長きにわたり 守り続けた灯火を
すり替えられた悔しさ
ただ 唇を噛む

守られた砦(とりで)
温室のゲージから
誇らしげな歌が唐突にやって来る
もういい!と声にならない声が
私達の耳に劈(つんざ)く

油色の歌
走り火は止まらない
跳ね返る火 触れぬよう
他人(ヒト)は 誇らしげに歌い直す
己の正しさを保つため

花時計
電波時計に見習って
タイムテーブルに置かれた数字
[次のページ]
   グループ"東日本大震災"
   Point(17)