少年よ 【三篇からなる オムニバス】/るるりら
【飛行模型】
露草の花は ひかりをうけて翼のようだから
おだやかな 面もちで 飛び石を踏み外さないように歩く
縁側で 竹ひごが 飛行機雲のように しなやかにのびている
そのなかでも 軽量に飛行荷重に耐えられる強度の竹ひごを 選ぶ
細い腕からは
もっとも うつくしい雫のような円が現われ
もっとも うつくしい直角から、シンメトリーの翼が生まれる
暗い雲をも押し広げるにはプロペラより むしろスクリューと呼ぶのが相応しい
死の島の上を 渾身のゴム動力の一機
白い模型飛行機が 旋回するのだ
漏斗状にへこんだ 彼の胸は 高鳴る
島には 廃墟とな
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