鋳掛屋/るるりら
そいつのことを「はんだめん」と呼んでいる
そいつは自分のことを 「たぬき」と自称している
初めて「半田麺」と云う食べ物を知った時は
なぜまた溶接面を商品名にするとはなんと奇抜で夢のあることかと思った
炎のある暮らしこそ 人の暮らしだ
子どもの頃は 鉄の街に住んでいたから 学校までの道なりに
何軒もの鉄工所があって 火花に見とれていると
おっちゃんに「目をやられちまうから 火花を見るな!」と よくどやされた
ところが いま住んでいる街には 炎が無い
うちの台所にしたって IHで 炎が無い
そいつに出会ったのは 炎が見たかったからだ
鉄の街で育
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