deep-freeze/士狼(銀)
 

押し花の詩集に閉じ込めた死骸と旋律は
千切れてなお美しく

  余ったページに

  臍の緒を載せて
  平らな始まりを白糸で綴じる

  翡翠の鱗を載せて
  平らな夢を赤糸で綴じる

  枯れた悪魔の背骨を載せて
  平らな友情を銅線で綴じる

  歌を忘れて冷たくなった雀を載せて
  平らな死を黒糸で綴じる

  寂しいと軽くなる弟の
  壊れかけた心臓を載せようとして
  やめる
  諦めを平らにするには
  まだオトナになれていないから

  最後のページに
  煙草の香りのするキスを載せて
  見えない影を見える糸で
  綴じる

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   グループ"complex≒indication"
   Point(13)