雨錆/士狼(銀)
 


梅雨入りの雨に打たれながら
掠れた音しか生まない喉で
ひとつ、
溜息を落としてみた
折畳み傘の骨が
海月みたく歪んで、溶けて
僅かばかりの猫背に
充分な質量を含んだまま
重く冷たく圧し掛かってくる
一切の干渉を許さない、
直線的な雨の
トタンを叩き、蛙を叱る
その力強さが疎ましかった
きっと、
一雫でも舐めとったならば
鉄の味がするんだろうと
その確信染みたような感慨は
一体、
   グループ"complex≒indication"
   Point(9)