永訣の朝に思いを馳せる/士狼(銀)
を見る弟の
水晶体は白濁を燈していて
お前も年を取ったねと
抱き上げると
その目は遥か遠くを見ていたので
もしかしたら
チャーくんに逢えますようにって
神様にお願いしていたのかなぁと思うと
もう僕の脆くなった涙腺は
壊れてしまって
壊れてしまって
母がどうしたのと振り返る前に
弟と一緒に窓から顔を出すと
風を受けて
僕の涙は弟の涙と混ざって
包まって
すっと、攫われていきました
光を受けた涙の影は
少しだけ希望に似ているなと
呟いて
また泣きました
僕とチャーくんの永訣の朝から
魚は泳ぎ始めました
鳥は飛び始めました
月は浮き始めました
太陽は沈黙しました
僕の世界は泣くことを覚えました
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